GLOSSARY

会計・税務・IPO・Web3用語集

会計・税務・IPO・Web3・DAOなどの重要用語を、公認会計士・税理士の代表 星野宇潮が解説。
実務でよく出てくる30用語を、カテゴリ別に整理しました。

TAX

税務

インボイス制度

(いんぼいすせいど)Qualified Invoice System

2023年10月開始の消費税の仕入税額控除に関する新制度。適格請求書発行事業者の登録が必要。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月1日に開始された消費税の仕入税額控除の新制度。仕入先が適格請求書発行事業者として登録していない場合、仕入税額控除ができない(経過措置あり)。年商1,000万円以下の免税事業者は、登録するか否かの判断が事業継続に影響する。

青色申告

(あおいろしんこく)Blue Return

適正な帳簿記帳に基づいた所得税・法人税の申告制度。各種税制優遇が受けられる。

青色申告は、所定の帳簿書類を備え、適正に記帳した上で行う所得税・法人税の申告制度。複式簿記での記帳が必要だが、青色申告特別控除(個人事業主は最大65万円)・損失の繰越控除(法人は10年・個人は3年)・少額減価償却資産の特例等の税制優遇を受けられる。法人は税務署への青色申告承認申請書の提出が必要。

源泉徴収

(げんせんちょうしゅう)Withholding Tax

給与・報酬等の支払時に、所得税を支払者が天引きして国に納付する制度。

源泉徴収は、給与・報酬・利子・配当等の支払時に、支払者が所得税を天引きして国に納付する制度。給与は給与所得者の扶養控除等申告書に基づき源泉徴収税額表で計算、士業・原稿料等の報酬は10.21%(100万円超部分は20.42%)を源泉徴収する。源泉徴収義務者は翌月10日までに納付。

繰越欠損金

(くりこしけっそんきん)Loss Carryforward

過去の事業年度に生じた赤字を将来の黒字と相殺できる税務上の繰越制度。

繰越欠損金は、青色申告法人が過去事業年度に生じた赤字(欠損金)を、最大10年間繰越して将来の黒字と相殺できる制度。スタートアップは創業初期の赤字を繰り越して、黒字化後の税負担を軽減できる。中小法人(資本金1億円以下)は欠損金全額控除可能だが、大法人は所得の50%が控除上限となる。

グループ通算制度

(ぐるーぷつうさんせいど)Group Tax Sharing System

親法人と100%子法人がグループ単位で法人税を計算する制度。2022年4月から旧連結納税制度に代わり開始。

グループ通算制度は、100%支配関係にある親法人と子法人が、所得・欠損金をグループ内で通算できる制度。2022年4月から旧連結納税制度に代わり開始。各法人が個別申告するが、欠損金は他のグループ法人の所得と通算可能。グループ全体での税負担最適化が図れるが、適用・離脱要件は厳格。

移転価格税制

(いてんかかくぜいせい)Transfer Pricing

国外関連企業間の取引価格が独立企業間価格と異なる場合の税務調整制度。

移転価格税制は、国外関連企業との取引価格が、第三者間で行われたと仮定した場合の独立企業間価格(ALP)と異なる場合に、税務当局が課税所得を再計算できる制度。グローバル企業の海外子会社との取引が対象。文書化義務(マスターファイル・ローカルファイル・国別報告書)も課されている。

役員社宅

(やくいんしゃたく)Executive Residence

会社が役員に貸与する社宅。適正家賃を役員から徴収すれば、節税効果がある。

役員社宅は、会社が役員に貸与する住居。法人税法上の「賃貸料相当額」を役員から徴収すれば、家賃と賃貸料相当額の差額分が経費化できる。賃貸料相当額の計算は、固定資産税の課税標準額・建物床面積・木造or木造以外等で決まる。所得2,000万円超の役員は特に効果が大きい節税策。

役員退職金

(やくいんたいしょくきん)Executive Retirement Payment

役員が退任時に受け取る退職金。所得税法上、給与より大幅に税負担が軽い。

役員退職金は、退職時に役員に支給する退職所得。退職所得控除(勤続年数×40万円〜)を差し引き、さらに1/2課税(長期勤続役員除く)となるため、給与で同額もらうより税負担が大幅に軽い。法人側も損金算入できるが、不相当に高額な部分は損金不算入となる。功績倍率法(最終月額報酬×勤続年数×功績倍率)で適正額を算定。

適格請求書発行事業者

(てきかくせいきゅうしょはっこうじぎょうしゃ)Qualified Invoice Issuer

インボイス制度に登録した消費税課税事業者。適格請求書を発行できる。

適格請求書発行事業者は、税務署長への登録申請を経て、インボイス(適格請求書)を発行できる消費税課税事業者。登録すると登録番号(T+13桁)が発行され、請求書・領収書に明示する義務がある。免税事業者は登録すると課税事業者になるため、取引先との関係性・売上規模を踏まえて判断が必要。

小規模企業共済

(しょうきぼきぎょうきょうさい)Small Business Mutual Aid

個人事業主・小規模企業の経営者向けの退職金制度。掛金全額が所得控除になる。

小規模企業共済は、中小機構が運営する個人事業主・小規模企業役員向けの退職金積立制度。月額1,000円〜7万円の掛金を払い、廃業・退職時に共済金を受け取る。掛金は全額所得控除になり、共済金受取時は退職所得or公的年金等控除で課税される。所得2,000万円程度の経営者は年間84万円の節税効果。

経営セーフティ共済

(けいえいせーふてぃきょうさい)Business Safety Mutual Aid

取引先倒産時の連鎖倒産防止のための共済制度。掛金は損金算入できる。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の倒産で連鎖倒産しないよう、無担保・無保証で借入可能にする共済制度。月額5,000円〜20万円(累計800万円まで)の掛金を払い、いつでも解約可能。掛金は法人税・所得税上の損金/必要経費に算入できるため、節税策としても活用される。

研究開発税制

(けんきゅうかいはつぜいせい)R&D Tax Credit

試験研究費の支出に対する法人税の税額控除制度。

研究開発税制は、企業が支出した試験研究費の一定割合を法人税額から控除できる制度。総額型(試験研究費総額の最大14%控除)・オープンイノベーション型(共同研究費の20-30%控除)・中小企業技術基盤強化税制(中小企業は最大17%控除)等がある。製薬・IT・製造業等の研究開発企業に特に有用。

ACCOUNTING

会計

税効果会計

(ぜいこうかかいけい)Tax Effect Accounting

会計上の費用・収益と税務上の損金・益金の差異を調整する会計処理。

税効果会計は、会計上の費用・収益と税務上の損金・益金との間に生じる一時差異を、繰延税金資産・繰延税金負債として貸借対照表に計上する会計処理。IPO準備企業や監査対象企業では必須の処理で、適用初年度は過去の差異を遡って認識する必要があるため、N-3期からの早期対応が望ましい。

月次決算

(げつじけっさん)Monthly Closing

毎月の経営状況を把握するため、月次で行う決算手続き。

月次決算は、1か月単位で経営成績と財政状態を把握する決算手続き。中小企業では年次決算のみが多いが、経営判断のスピード化・銀行融資対応・IPO準備のためには月次決算が必須。IPO準備企業では、月初5営業日以内に前月の月次決算を締める「早期化」が求められる。

年次決算

(ねんじけっさん)Annual Closing

1年間の経営成績と財政状態を確定させる決算手続き。

年次決算は、事業年度末に1年間の経営成績と財政状態を確定させる手続き。法人税申告・消費税申告・決算公告等の法定手続きの基礎となる。日本の中小企業の多くは3月決算だが、業種特性・繁忙期回避・節税効果等から12月・9月決算などに変更する企業も多い。

クラウド会計

(くらうどかいけい)Cloud Accounting

インターネット経由で利用する会計ソフト。銀行口座・クレジットカードと自動連携できる。

クラウド会計は、freee・MoneyForward・弥生会計オンライン等の、インターネット経由で利用する会計ソフトの総称。銀行口座・クレジットカード明細を自動取得し、AI仕訳機能で経理工数を大幅に削減できる。スマホアプリにも対応し、領収書をカメラで撮るだけで仕訳化可能。電子帳簿保存法対応にも有利。

電子帳簿保存法

(でんしちょうぼほぞんほう)Electronic Bookkeeping Act

国税関係帳簿書類の電子保存を認める法律。2024年1月から電子取引データの電子保存が義務化。

電子帳簿保存法は、国税関係帳簿(仕訳帳・総勘定元帳等)及び書類(請求書・領収書等)を、電子データで保存することを認める法律。2022年改正により電子取引データの電子保存が義務化され、2024年1月から完全義務化。要件を満たさない保存は青色申告承認取消のリスクがあるため、対応が必須。

MoneyForward

(まねーふぉわーど)MoneyForward

国内シェアトップクラスのクラウド会計ソフト。

MoneyForwardクラウドは、株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型の会計・税務・労務サービス。会計・確定申告・請求書・経費・給与・人事労務・契約等を1つのプラットフォームで提供。当事務所はMoneyForwardゴールドメンバー認定を受けており、導入支援・運用最適化に強みを持つ。

IPO

IPO

IPO

(あいぴーおー)Initial Public Offering

新規株式公開のこと。未上場企業が証券取引所に上場し、株式を市場で取引できるようにすること。

IPO(Initial Public Offering)とは、未上場企業が証券取引所に上場し、不特定多数の投資家に株式を公開すること。日本では東京証券取引所のプライム/スタンダード/グロース市場のいずれかに上場するのが一般的。IPOには通常3〜5年の準備期間が必要で、N-3期から内部統制構築・経理体制整備・主幹事証券会社との折衝などを進める。

ストックオプション

(すとっくおぷしょん)Stock Option

従業員や役員が自社株を一定価格で取得できる権利。ベンチャーの人材確保に活用される。

ストックオプション(SO)は、付与時点で定めた価格で自社株を将来購入できる権利。スタートアップは現金報酬を高くできない代わりに、SOで上場後の値上がり益を還元する手段として活用する。税制適格SOと税制非適格SOがあり、適格要件を満たすと課税が大幅に有利になる。1円ストックオプション、信託型SOなど多様な設計が可能。

内部統制

(ないぶとうせい)Internal Control

企業内の業務プロセスを適切に管理するための仕組み。J-SOXとして金商法で義務化。

内部統制は、企業の業務が効率的・適法に行われ、財務報告の信頼性が確保されるための社内プロセス。上場企業は金商法に基づき、内部統制報告書を毎期作成し監査を受ける(J-SOX)。IPO準備企業は、N-2期から本格的に整備を始め、N-1期で運用テスト、申請期から監査対応するのが標準的なスケジュール。

東証グロース市場

(とうしょうぐろーすしじょう)TSE Growth Market

東京証券取引所の3つの市場のうち、高い成長性が期待される企業向けの市場。

東証グロース市場は、2022年4月の市場再編で誕生した東京証券取引所の3市場(プライム・スタンダード・グロース)のうち、高い成長可能性を有する企業向けの市場。上場基準は時価総額40億円以上・流通株式数1,000単位以上・流通株式時価総額5億円以上等。マザーズ市場の後継として、ベンチャー上場の主戦場。

WEB3

Web3・DAO

DAO

(だお)Decentralized Autonomous Organization

分散型自律組織。ブロックチェーン上で運営される、中央管理者を持たない組織形態。

DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)は、ブロックチェーン技術を活用し、中央管理者なしに参加者の合議で意思決定する組織形態。日本では2024年に合同会社型DAOの法制度が整備され、合同会社の社員権をトークン化することで、DAO的な運営と法人格を両立できるようになった。

CORPORATE

会社・法務

合同会社

(ごうどうがいしゃ)Godo Kaisha (LLC)

会社法上の会社形態の一つ。株式会社より設立コストが低く、内部自治の自由度が高い。

合同会社(LLC)は、2006年の会社法改正で導入された会社形態。出資者全員が有限責任社員でありながら、内部の意思決定や利益配分を自由に設計できる柔軟性が特徴。設立費用が株式会社の約半額(登録免許税6万円〜)で済むため、スタートアップや個人事業の法人化に活用されることが多い。合同会社型DAOにも採用された組織形態。

株式会社

(かぶしきがいしゃ)Kabushiki Kaisha (Corp.)

会社法上の会社形態の一つ。日本で最も一般的な法人形態で、株式発行による資金調達が可能。

株式会社は、株式を発行することで広く出資を集められる会社形態。出資者(株主)は有限責任で、会社の意思決定は株主総会・取締役会で行う。IPOやVC調達を視野に入れる場合、株式会社一択。設立費用は登録免許税15万円(資本金により増加)、公証人手数料約5万円が必要。

事業承継

(じぎょうしょうけい)Business Succession

事業を後継者に引き継ぐこと。親族内承継・親族外承継・第三者承継(M&A)等の形態がある。

事業承継は、事業を後継者に引き継ぐプロセス全体を指す。親族内承継(子・配偶者等への承継)・親族外承継(役員・従業員等への承継)・第三者承継(M&A等)の3形態がある。事業承継税制(特例措置)を活用すれば、自社株の贈与税・相続税が実質ゼロになる可能性も。準備期間は通常5〜10年を要する。

AUDIT

監査

監査

(かんさ)Audit

企業の財務諸表が適正に作成されているかを、独立した第三者が検証する手続き。

監査は、公認会計士または監査法人が、企業の財務諸表が適正に作成されているかを独立した立場から検証する手続き。会社法監査(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社)・金商法監査(上場企業)が法定。任意監査・株式公開(IPO)準備監査もある。監査意見は適正意見・限定付適正・不適正・意見不表明の4種類。

FINANCE

ファイナンス

デューデリジェンス

(でゅーでりじぇんす)Due Diligence

M&Aや投資の前に対象企業の財務・税務・法務・事業を詳細調査する手続き。

デューデリジェンス(DD)は、M&A・株式取得・上場前監査等の前に、対象企業の状況を多面的に調査する手続き。財務DD・税務DD・法務DD・ビジネスDD・人事DD等の種類がある。隠れた負債・税務リスク・労務リスク・契約リスク等を洗い出し、買収価格の妥当性検証や買収後の統合計画策定に活用される。

エンジェル税制

(えんじぇるぜいせい)Angel Tax System

スタートアップに投資する個人投資家への税制優遇措置。

エンジェル税制は、設立10年未満の未上場ベンチャー企業に投資する個人投資家への税制優遇措置。優遇措置Aは投資額の全額(年間800万円が限度)を寄附金扱いで所得控除、優遇措置Bは投資額全額を株式の譲渡益から控除可能。2023年改正で再投資特例も追加され、利用しやすくなった。

M&A

(えむあんどえー)Mergers and Acquisitions

企業の合併・買収。事業承継・成長戦略・出口戦略として活用される。

M&A(Mergers and Acquisitions)は、企業の合併・買収を指す。中小企業の事業承継手段、スタートアップの出口戦略、大企業の成長戦略として活用される。手法には株式譲渡・事業譲渡・株式交換・合併等があり、それぞれ税務処理が異なる。デューデリジェンス・バリュエーション・契約交渉・PMI(Post Merger Integration)が主要プロセス。