インタビュー

公認会計士・星野宇潮インタビュー① ─ 立教大学在学中の試験合格と監査法人トーマツ時代に学んだ「数字の奥にある経営」

<p>この記事は、メタワークス会計事務所・メタワークスコンサルティング代表で<strong>公認会計士・税理士</strong>の星野宇潮(ほしの・うしお)へのインタビュー連載第1回です。一般社団法人RULEMAKERSDAOの監事を務め、合同会社型DAOに関する立法論にも関与してきた星野が、その原点である「立教大学在学中の公認会計士試験合格」と「有限責任監査法人トーマツ(以下、トーマツ)での監査経験」を、自身の言葉で振り返ります。経営者・個人事業主・スタートアップの皆さまにとって、<strong>公認会計士という職業が企業の数字とどう向き合っているのか</strong>を知る一助となれば幸いです。</p>

<h2>公認会計士を志した理由 ─ 「数字は嘘をつかない」への確信</h2> <p>― なぜ公認会計士を目指したのでしょうか。</p> <p>星野「立教大学に在学していた頃、漠然と『一生かけて磨ける専門性が欲しい』と考えていました。いろいろな職業を見るなかで一番惹かれたのが、公認会計士でした。理由はシンプルで、<strong>会計の数字は、立場や感情に左右されずに企業の実態を映し出す</strong>からです。売上が伸びている、利益が出ている、資金が回っている―こうした事実は、最終的には数字に集約されます。その数字が本当に正しいのかを、独立した第三者の立場から確かめるのが公認会計士の仕事です」</p> <p>公認会計士は、財務諸表が会計基準に従って適正に作成されているかを監査し、社会に対して意見を表明する独占業務を担います。上場企業の財務情報を投資家が信頼できるのは、その背後で会計監査が機能しているからにほかなりません。公認会計士・監査審査会や日本公認会計士協会が公表する資料でも、この「資本市場の信頼を支える」役割が会計士の社会的使命として明確に位置づけられています。</p> <p>星野「経営者の方とお会いすると『会計は税務署や銀行のためにやるもの』という感覚を持っている方が少なくありません。でも本来は逆で、<strong>会計は経営者自身が会社の現在地を正しく知るための道具</strong>です。その出発点になったのが、学生時代に抱いた『数字は嘘をつかない』という確信でした」</p>

<h2>在学中合格までの道のり ─ 最難関国家資格の試験範囲</h2> <p>公認会計士試験は、医師・弁護士と並ぶ三大国家資格の一つに数えられ、日本でも有数の難関試験です。星野は大学の講義と並行して受験勉強を進め、在学中に合格を果たしました。</p> <p>― 試験範囲はどのようなものですか。</p> <p>星野「公認会計士試験は短答式と論文式の二段階で構成されています。学ぶ範囲がとにかく広く、会計の中核から法律、税務まで体系的に押さえる必要があります」</p> <p>公認会計士試験のおおまかな科目構成は次のとおりです(最新の試験制度・科目・配点は、必ず公認会計士・監査審査会の公式情報をご確認ください)。</p> <table> <thead><tr><th>区分</th><th>主な科目</th><th>学ぶ内容のイメージ</th></tr></thead> <tbody> <tr><td>会計系</td><td>財務会計論・管理会計論</td><td>財務諸表の作成ルールと、原価計算・意思決定に使う管理会計</td></tr> <tr><td>監査</td><td>監査論</td><td>財務諸表が適正かを確かめる手続きと考え方</td></tr> <tr><td>法律系</td><td>企業法</td><td>会社法を中心とした企業活動の法的枠組み</td></tr> <tr><td>税務</td><td>租税法</td><td>法人税・所得税・消費税などの計算と理論</td></tr> <tr><td>選択</td><td>経営学など</td><td>受験者が選択する専門科目</td></tr> </tbody> </table> <p>星野「在学中という時間の制約があったので、<strong>『何を捨てるか』を決めることに一番頭を使いました</strong>。すべてを完璧にやろうとすると時間が足りません。配点が大きく、かつ他の科目の土台になる財務会計論に学習時間を厚く配分し、理解した内容は繰り返し手を動かして定着させる。合格に必要な水準を見極めて、そこへ最短で到達する設計を徹底しました」</p> <p>この「資源は有限という前提で優先順位をつける」という考え方は、後にスタートアップの管理体制を整える仕事にも直結したと星野は語ります。経営も受験も、限られたリソースをどこに投下するかという意思決定の連続だからです。</p>

<h2>有限責任監査法人トーマツへ ─ Big4で多様な企業を見る</h2> <p>試験合格後、星野はトーマツに入所します。トーマツは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(Deloitte)のメンバーファームであり、いわゆる<strong>「Big4(4大監査法人)」</strong>の一角を占める国内有数のプロフェッショナルファームです。</p> <p>星野「監査法人に入って驚いたのは、扱う企業の幅の広さです。業種も規模も成長ステージもまったく違う会社を、短期間で次々と担当します。すでに上場している企業もあれば、これから上場を目指す<strong>上場準備(IPO準備)企業</strong>もある。1社の中にいたら一生かけても見られないような数の決算と内部統制を、数年で見ることになります」</p> <p>― 監査の現場では具体的に何をするのでしょうか。</p> <p>星野「ひと言でいえば『財務諸表に書かれた数字が本当に正しいのかを確かめる』仕事です。たとえば売上として計上されている取引が実在するのか、在庫が帳簿どおり存在するのか、回収できない売掛金が放置されていないか。証憑を突き合わせ、現場を見て、経営者や経理担当者に質問する。<strong>数字を疑うのではなく、数字の裏付けを一つずつ確認していく</strong>。この地道な作業の積み重ねが、財務情報の信頼性を担保します」</p>

<h2>トーマツ時代の学び ─ 「IPOに近づく会社」と「遠ざかる会社」の差</h2> <p>多様な企業を第三者の立場から見続けたことが、星野にとって決定的な学びになりました。</p> <p>星野「監査を通じてたくさんの会社を横断的に見ていると、<strong>『上場に近づいていく会社』と『どこかで止まってしまう会社』の違い</strong>が、だんだん見えてくるんです。事業の良し悪しだけでは決まりません。むしろ、お金や数字を管理する仕組み―会計や内部統制といった『守りの部分』が、成長のどこかで必ず効いてくる」</p> <p>星野が挙げる、両者を分けやすいポイントは次のようなものです。</p> <ul> <li><strong>数字が締まるスピード</strong>:月次決算が翌月の早い時期に固まる会社は、経営判断が速い。決算がいつまでも確定しない会社は、現在地が見えないまま走っていることが多い。</li> <li><strong>属人化していないか</strong>:特定の一人しか経理や資金繰りを把握していない状態は、上場審査でも事業継続でもリスクになる。</li> <li><strong>ルールと運用の一致</strong>:規程は立派でも実際の業務が伴っていない会社は、内部統制が「絵に描いた餅」になりがち。</li> <li><strong>経営者が数字を語れるか</strong>:自社の数字を自分の言葉で説明できる経営者は、投資家や審査の場でも信頼を得やすい。</li> </ul> <p>星野「もちろん、これは原則的な傾向であって、会社の状況によって何が効くかは変わります。ただ、<strong>『良い事業に、数字を扱う仕組みが追いつかなくて伸び悩む』という構図は本当によく見ます</strong>。逆にいえば、ここを早めに整えておくことが、後の選択肢を大きく広げる。私が後にIPO支援に進んだのは、まさにこの『守りを整えれば、もっと多くの会社が攻めに転じられる』という実感が原点でした」</p> <p>このトーマツ時代の経験が、後に星野がIPO支援に特化した道へ進み、20社を超える上場支援に携わる土台となっていきます。その経緯は連載第2回で詳しく語られます。</p>

<h2>よくある質問(FAQ)</h2> <h3>Q1. 公認会計士と税理士は何が違うのですか?</h3> <p>大きく分けると、公認会計士の独占業務は<strong>「監査」</strong>(財務諸表が適正かを第三者の立場で確かめる仕事)、税理士の独占業務は<strong>「税務代理・税務書類の作成・税務相談」</strong>です。公認会計士は所定の手続きを経て税理士登録ができるため、星野のように両方の資格を持つ専門家もいます。経営者にとっては「会計の信頼性を見る目」と「税務の実務」の両面を一人に相談できる利点があります。なお、それぞれの独占業務の正確な範囲は公認会計士法・税理士法の定めによりますので、詳細は各制度の公式情報をご確認ください。</p> <h3>Q2. 公認会計士試験はどのくらい難しいのですか?</h3> <p>会計・監査・法律・税務にまたがる広範な範囲を、短答式・論文式の二段階で問う試験で、合格まで数千時間規模の学習が必要といわれる難関資格です。在学中の合格は時間的制約が大きく、学習設計の精度が問われます。最新の合格率・受験資格・試験スケジュールは、公認会計士・監査審査会の公式情報を必ずご確認ください。</p> <h3>Q3. まだ上場を考えていない中小企業でも、会計士に相談する意味はありますか?</h3> <p>あります。星野が指摘するとおり、<strong>会計や内部統制という「守りの仕組み」は、上場の有無にかかわらず経営判断の精度を高めます</strong>。月次決算の早期化、属人化の解消、資金繰りの見える化は、どの規模の会社にも効きます。将来の資金調達・事業承継・M&Aといった選択肢を広げる意味でも、早い段階で専門家の視点を入れる価値は十分にあります。</p>

<h2>まとめ/ご相談</h2> <p>連載第1回では、公認会計士・税理士である星野宇潮が、立教大学在学中の試験合格と、トーマツでの監査経験を通じて得た<strong>「数字の奥にある経営の実態を見抜く力」</strong>を振り返りました。多様な企業を第三者の立場から見続けた経験こそが、後のIPO支援20社超という実績の原点になっています。監修者である星野宇潮のプロフィールは<a href="https://invaders.co.jp/members/hoshino-ushio.html">こちらのプロフィールページ</a>をご覧ください。</p> <p>メタワークス会計事務所・メタワークスコンサルティングでは、上場を見据えた企業はもちろん、<strong>「まずは自社の数字を正しく見える化したい」という経営者・個人事業主・スタートアップの皆さま</strong>のご相談も承っています。会計顧問・IPO支援・経営管理体制の構築まで、現場で企業を見続けてきた視点でサポートします。詳しくは<a href="https://metaworksgroup.jp/">メタワークスグループ公式サイト</a>、または<a href="https://metaworksgroup.jp/topics/">トピックス一覧</a>から最新情報をご確認のうえ、お気軽にお問い合わせください。</p> <p>次回・第2回では、星野がトーマツを退所し、IPO支援に特化したコンサルティングファームを創業した経緯と、20社を超える上場支援に携わるまでの軌跡を掘り下げます。</p>

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