インタビュー

星野宇潮インタビュー⑩(最終回)─「未来の居場所づくり」とは何か。会計・DAO・メタバースが一本の線でつながる理由

<p>本記事は、メタワークス会計事務所・メタワークスコンサルティング代表の<strong>星野宇潮(ほしの・うしお)</strong>が、自身の活動の根底にある「未来の居場所づくり」というテーマの本質と、そこに辿り着いた経緯を語ったインタビューシリーズの最終回(第10回)です。聞き手の問いに、本人が一人称で答えるかたちでお届けします。</p>

<p>星野は公認会計士・税理士として<strong>20社を超えるIPO(新規上場)支援</strong>に携わり、現在は<a href="https://invaders.co.jp/members/hoshino-ushio.html" target="_blank" rel="noopener">一般社団法人RULEMAKERS DAOの監事</a>として、合同会社型DAOに関する制度設計・立法の議論にも関与しています。会計税務という足元の実務から、まだ法制度が固まりきっていない新領域まで。一見バラバラに見えるこれらの活動を、本人はどう一本につないでいるのでしょうか。</p>

<h2>「未来の居場所づくり」とは何か</h2>

<p><em>── まず、星野さんが一貫して掲げている「未来の居場所づくり」というテーマについて教えてください。</em></p>

<p>「会計士・税理士が『居場所』という言葉を使うと、最初はピンとこない方が多いと思います。私自身、最初からこの言葉を持っていたわけではありません。20年近く経営者の隣で仕事をしてきて、後から振り返ったときに『自分がやってきたことの共通項はこれだった』と気づいた、という順序です」</p>

<p>「私が言う『居場所』には、大きく3つの層があります」</p>

<h3>① 人が安心して集まれる「場」をつくる</h3>

<p>「ひとつ目は、文字どおり人が集まれる場です。物理的なオフィスだけでなく、メタバース上の空間、地域コミュニティ、社内のチームやオンラインサロンのようなコミュニティも含みます。人は所属する場所がないと、能力があっても力を発揮しきれません。逆に、安心できる場があれば挑戦できる。場づくりは、経済活動の前提条件だと考えています」</p>

<h3>② 組織のかたちの「選択肢」を広げる</h3>

<p>「ふたつ目は、組織形態の選択肢です。日本では『事業をやる=株式会社をつくる』とほぼ自動的に考えられがちですが、実際には合同会社、一般社団法人、NPO法人、そして近年議論が進む<strong>合同会社型DAO</strong>など、目的に応じた器がいくつもあります。器を間違えると、ガバナンスも税務も後から苦しくなる。だからこそ『どの居場所=法人格で活動するか』を最初に一緒に考えることに、強いこだわりがあります」</p>

<h3>③ 経営の「健全な足場」を提供する</h3>

<p>「みっつ目は、地味ですが一番大事な土台です。どれだけ理念が立派でも、会計と税務がぐらついていると組織は続きません。正確な記帳、適切な申告、資金繰りの見える化。こうした足場を整えることは、事業者にとっての『安心できる居場所』そのものだと思っています」</p>

<h2>なぜこのテーマに辿り着いたのか ── 3つのキャリアステップ</h2>

<p><em>── そのテーマは、どのような経験から生まれたのでしょうか。</em></p>

<h3>IPO支援20社超で見た「経営者の孤独」</h3>

<p>「最初の原点は、IPO支援の現場です。上場準備というのは、数年がかりで管理体制を整え、監査法人や証券会社、取引所の審査に向き合う長い道のりです。日本取引所グループ(JPX)や東京証券取引所が定める上場基準をクリアしていく過程は、経営者にとって誇らしい一方で、本当に孤独な意思決定の連続でもあります」</p>

<p>「資本政策ひとつ取っても、一度決めると後戻りが難しい論点が多い。そういう局面で『相談できる相手がいる』こと自体が、経営者にとっての居場所なのだと痛感しました。数字をつくるだけが会計士の仕事ではなく、隣に立って一緒に悩む伴走者であること。ここが私のキャリアの土台になっています」</p>

<h3>合同会社型DAOの立法関与で感じた「選択肢の少なさ」</h3>

<p>「次が、DAO(分散型自律組織)に関する制度づくりへの関与です。RULEMAKERS DAOの監事として議論に加わるなかで、痛感したのは『日本には株式会社しか現実的な選択肢がない領域が多すぎる』ということでした」</p>

<p>「DAOのように、貢献者が国境を越えて緩やかに集まり、意思決定を分散させる組織は、従来の株式会社の枠にきれいには収まりません。こうした新しい協働のかたちに、合同会社(LLC)を土台とした器を当てはめようという議論が、近年制度面で進んできました。法律や税務の取り扱いは現在進行形で整備が続いている領域なので、最新の枠組みは金融庁や経済産業省、e-Gov法令検索などの公式情報を必ずご確認いただきたいのですが、私自身は『組織の器の選択肢を増やすこと』が社会的にとても意味のある仕事だと確信しました」</p>

<h3>メタバース事業運営で得た「新しい居場所」の手応え</h3>

<p>「3つ目が、ソーシャルノバでのメタバース事業です。在京キー局や大手鉄道、大学などと連携した大規模なバーチャルイベントの運営に関わるなかで、画面の向こうの空間が、参加者にとって確かな『居場所』になっていく様子を間近で見ました。物理的な距離や属性を越えて人がつながれる場は、これからの社会に不可欠なインフラになる。そう確信したのです」</p>

<p>「IPO支援で見た『伴走者としての居場所』、DAO立法で見た『組織の選択肢としての居場所』、メタバースで見た『新しい集まりの場としての居場所』。この3つが頭の中でつながったとき、『未来の居場所づくり』という一本の軸が見えてきました」</p>

<h2>現代日本が抱える「居場所の喪失」という課題</h2>

<p><em>── なぜ今、「居場所」なのでしょうか。</em></p>

<p>「現代の日本社会を一言で表すなら、私は『居場所の喪失』だと捉えています。中小企業庁や各種の白書でも繰り返し指摘されているように、核家族化、少子高齢化、地域コミュニティの弱体化、終身雇用を前提としない働き方への移行が同時に進みました。その結果、多くの人が『自然に集まれる場所』『自分が必要とされる場所』『気持ちが落ち着ける場所』を少しずつ失っています」</p>

<p>「これは個人の問題であると同時に、経済の問題でもあります。事業者にとっても、人材が定着するコミュニティや、安心して挑戦できる組織がなければ、価値を生み出し続けることはできません。失われた居場所を、<strong>新しい組織のかたち・新しい技術・新しいコミュニティ運営の手法</strong>で再構築する。これが『未来の居場所づくり』の本質です」</p>

<h2>4つの事業体を貫く一本の線</h2>

<p><em>── 星野さんは複数の組織に関わっていますが、それぞれの役割をどう整理していますか。</em></p>

<p>「外から見るとバラバラに見えるかもしれませんが、私の中ではすべて同じテーマの別の入り口です」</p>

<table> <thead> <tr><th>事業体・役割</th><th>提供している「居場所」</th></tr> </thead> <tbody> <tr><td>メタワークス会計事務所/メタワークスコンサルティング</td><td>企業に「健全な経営の足場」という居場所</td></tr> <tr><td>株式会社インベーダーズ/ソーシャルノバ</td><td>人々に「メタバース・コミュニティ」という新しい居場所</td></tr> <tr><td>一般社団法人RULEMAKERS DAO(監事)</td><td>社会に「多様な組織形態という選択肢」という居場所</td></tr> </tbody> </table>

<p>「会計の足場づくりも、メタバースの場づくりも、DAOの制度づくりも、根っこは同じ『人が安心して挑戦できる場所をつくる』こと。だから私にとっては、これらを兼業しているという感覚はあまりなく、一つのビジョンを複数の角度から実装している、という感覚に近いです」</p>

<h2>これから事業を始める方・新しい組織をつくる方へ</h2>

<p><em>── 最後に、読者の経営者や個人事業主の方へメッセージをお願いします。</em></p>

<p>「事業を始めるとき、多くの方は『何をやるか(事業内容)』から考えます。それはもちろん大切ですが、私はそれと同じくらい『どの器でやるか』『誰と、どんな場でやるか』を最初に設計してほしいと考えています。法人格の選択、資本政策、税務のスキーム。これらは後から変えるとコストも痛みも大きい論点だからです」</p>

<p>「あなたにとっての『居場所』は何でしょうか。家族、職場、趣味のコミュニティ、SNSのつながり、地域の集まり。きっと複数あるはずです。私は、こうした居場所を、もっと多くの人が、もっと多様なかたちで持てる社会を実現したい。もし事業者として『新しい居場所をつくりたい』『今の組織をもっと良くしたい』とお考えなら、会計税務、コミュニティ設計、メタバース活用、DAO組成のどの切り口からでも、伴走させていただきます」</p>

<h2>よくある質問(FAQ)</h2>

<h3>Q1. これから起業します。株式会社・合同会社・一般社団法人のどれを選べばよいですか?</h3> <p>結論から言うと「目的とお金の集め方」で決まります。外部から出資を募り将来の上場(IPO)も視野に入れるなら株式会社、少人数で機動的に始めたいなら合同会社、非営利性や公益性を重視するなら一般社団法人やNPO法人が候補になります。設立費用・課税関係・ガバナンスの自由度がそれぞれ異なるため、事業の中長期の姿から逆算して選ぶことが大切です。判断に迷う場合は、初期段階で専門家に相談されることをおすすめします。</p>

<h3>Q2. DAO(合同会社型DAO)は、税務上・法律上どう扱われるのですか?</h3> <p>合同会社型DAOは、合同会社(LLC)という既存の法人格を土台に、分散的な意思決定を組み込もうとする比較的新しい枠組みです。トークンの発行・保有・売却に関する課税の取り扱いなどは制度整備が現在も進行している領域であり、年度や具体的な状況によって解釈が変わり得ます。本記事では原則的な考え方のみをお示しし、個別の課税関係については金融庁・国税庁・e-Gov法令検索などの公式情報、および最新の取り扱いに精通した税理士へのご確認をお願いしています。</p>

<h3>Q3. 上場(IPO)を目指すべきか、非上場のまま成長を続けるべきか迷っています。</h3> <p>IPOは資金調達力や社会的信用を高める一方、上場維持コストや開示義務、ガバナンス整備の負担も伴います。上場基準や審査の枠組みは日本取引所グループ(JPX)・東京証券取引所の公式情報で確認できますが、本質的には「資金と信用をどこまで必要とするか」「創業者がどこまで経営の自由度を保ちたいか」という経営判断です。20社超のIPO支援の経験からは、まず数年先の事業規模と資本政策を描いたうえで、上場が手段として最適かを検証することをおすすめしています。</p>

<h2>まとめ/ご相談</h2>

<p>「未来の居場所づくり」とは、人が安心して集まれる場、組織形態の選択肢、そして会計税務という経営の足場の3つを通じて、事業者と人々の「居場所」を再構築していく取り組みです。会計・DAO・メタバースという一見離れた領域は、星野宇潮の中では一本の線でつながっています。</p>

<p>メタワークス会計事務所・メタワークスコンサルティングでは、<strong>会社設立・法人形態の選択、IPO支援、資本政策、日々の会計税務、コミュニティやDAOを含む新しい組織の設計</strong>まで、経営の「居場所づくり」を一気通貫で伴走しています。これから事業を始める方も、今の組織を見直したい方も、まずはお気軽にご相談ください。</p>

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<p>本インタビューシリーズは、本記事(第10回)をもって完結となります。長らくのご愛読、誠にありがとうございました。今後も星野宇潮および当グループの活動にご注目いただければ幸いです。</p>

<p><small>本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法務判断を保証するものではありません。税率・控除額・各種基準・制度の取り扱いは改正される場合があります。最新の取り扱いは国税庁・金融庁・中小企業庁・日本取引所グループなどの公式情報をご確認のうえ、具体的なご判断は税理士等の専門家にご相談ください。</small></p>

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