M&Aは中小企業の事業承継・成長戦略として活用が広がっています。本記事では、M&Aの税務上の論点を整理します。
【M&Aの主要スキーム】 ■1. 株式譲渡 売り手(株主)が買い手に株式を譲渡する最もシンプルなスキーム。
■2. 事業譲渡 会社の事業の一部または全部を買い手に譲渡。
■3. 合併 買い手が売り手会社を吸収合併する。
■4. 会社分割 売り手が事業を分割し、買い手に承継させる。
■5. 株式交換 買い手が自社株式を対価として売り手会社を子会社化。
【売り手側の税務】 ■株式譲渡の場合 ・個人株主: 譲渡所得課税(分離課税、約20%) ・法人株主: 譲渡益が法人税課税対象 ・退職金との組み合わせ: 役員退職金と組み合わせて全体最適化
■事業譲渡の場合 ・売主法人: 譲渡益が法人税課税対象 ・消費税: 課税資産の譲渡として原則課税対象 ・営業権(のれん): 譲渡益として課税
■合併の場合 ・適格合併: 課税繰延(税負担なし) ・非適格合併: 譲渡損益発生
【買い手側の税務】 ■株式譲渡の場合 ・取得価額: 譲渡代金が株式の取得価額 ・繰越欠損金: 売り手の繰越欠損金は原則使えない ・含み益: 売り手の含み益も実現課税は将来
■事業譲渡の場合 ・資産の取得価額: 公正価値で取得 ・営業権(のれん): 取得時に資産計上、5年で償却 ・消費税: 課税仕入れとして仕入税額控除可能
■合併の場合 ・適格合併: 売り手の繰越欠損金を承継可能(一定要件下) ・非適格合併: 売り手の繰越欠損金は引継ぎ不可
【適格組織再編の要件】 適格組織再編(課税繰延)の要件は厳格: ■完全支配関係下の組織再編 ・100%親子会社間 ・継続的な完全支配関係の見込み
■支配関係下の組織再編 ・50%超の支配関係 ・事業継続性 ・主要資産の引継ぎ ・主要従業員の引継ぎ
■共同事業要件 ・支配関係なしでも、事業の共同化を目的とする場合 ・厳格な共同事業要件あり
【M&A税務DDの注意ポイント】 買い手の立場でのDDで確認すべき税務リスク: (1)過去の税務調査履歴 (2)未解決の税務争訟 (3)税効果会計の繰延税金資産の回収可能性 (4)関連当事者取引の妥当性 (5)国際税務リスク(移転価格・PE課税等) (6)海外子会社のCFC税制適用 (7)税務処理の継続性
【中小企業のM&Aで活用できる優遇制度】 ■経営承継円滑化法 ・贈与税・相続税の納税猶予制度 ・後継者への株式集中
■事業承継ガイドライン ・経営者保証ガイドライン ・経営者保証の解除交渉
■M&A補助金 ・中小企業庁の事業承継・引継ぎ補助金 ・専門家活用枠での経費補助
【M&Aプロセスの主な税務論点】 ■LOI(意向表明書)段階 ・大まかな税務スキーム検討 ・税務DDの範囲確定
■DD段階 ・税務DDの実施 ・税務リスクの洗い出し ・スキーム最終決定
■契約締結段階 ・税務調整条項の設定 ・表明保証の範囲確定 ・補償金額の決定
■クロージング後 ・適切な税務処理の実行 ・統合プロセス(PMI)での税務最適化
【売り手・買い手それぞれの留意点】 ■売り手側 ・退職金との組み合わせで税負担最小化 ・将来の事業計画と整合的なスキーム選定 ・税務リスクの開示(隠すと後で問題)
■買い手側 ・税務DDの徹底 ・繰越欠損金の引継ぎ可能性検討 ・統合後の税務最適化
【メタワークスのサポート】 M&Aの税務面でのアドバイス、税務DD、スキーム最適化、契約レビューまで、メタワークス会計事務所、メタワークスコンサルティングが伴走支援します。
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