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年末調整のポイント(2024年版)|定額減税の精算・対象者・スケジュールを公認会計士が解説

<p>毎年11月から12月にかけて、給与を支払う事業者は<strong>年末調整</strong>を行います。年末調整は、毎月の給与から源泉徴収してきた所得税の合計額と、その年に本来納めるべき所得税額との差額を精算し、過不足を年内最後の給与で還付・徴収する手続きです。2024年分(令和6年分)は、ここに<strong>定額減税の年末調整での精算(いわゆる年調減税事務)</strong>が加わるため、例年以上に丁寧な確認が求められます。</p> <p>本記事では、2024年分の年末調整について、変更点となる定額減税の取扱い、対象者の判定、必要書類と回収スケジュール、電子化のメリットまでを、スタートアップ・中小企業の経理担当者および経営者向けに整理します。本稿はメタワークス会計事務所の監修者である<a href="https://invaders.co.jp/members/hoshino-ushio.html">公認会計士・税理士 星野宇潮</a>(IPO支援実績20社超)の監修のもと作成しています。</p>

<h2>年末調整とは|「源泉徴収の精算」という位置づけ</h2> <p>給与所得者の多くは、確定申告をせずに納税が完結します。これは、会社が毎月の給与から所得税を概算で天引き(源泉徴収)し、年末にその年の正しい税額を計算し直して差額を精算する<strong>年末調整</strong>という仕組みがあるためです。源泉徴収はあくまで概算であり、扶養親族の増減や各種保険料の支払い、住宅ローン控除(適用2年目以降)などは、年末調整ではじめて税額に反映されます。</p> <p>そのため、毎月の源泉徴収額の合計が本来の年税額より多ければ差額が<strong>還付</strong>され、少なければ追加で<strong>徴収</strong>されます。年末調整は、従業員にとっての「確定申告の代行」であると同時に、会社にとっては源泉徴収義務者としての法定事務です。源泉徴収のしくみそのものを基礎から確認したい方は、<a href="https://metaworksgroup.jp/topics/withholding-tax-guide">源泉徴収のしくみと年末調整の解説記事</a>もあわせてご覧ください。</p>

<h2>2024年(令和6年)分の最大の変更点|定額減税の精算</h2> <p>2024年分の年末調整における最大のトピックは、<strong>定額減税</strong>です。2024年は、所得税・個人住民税の負担を軽減する措置として、定額減税が実施されました。原則として、納税者本人と同一生計配偶者・扶養親族の人数に応じて、一定額が税額から控除される仕組みです。</p> <ul> <li><strong>所得税の定額減税</strong>……本人および対象となる同一生計配偶者・扶養親族について、1人あたり<strong>3万円</strong>が控除されます。</li> <li><strong>個人住民税の定額減税</strong>……同様に1人あたり<strong>1万円</strong>が控除されます。</li> </ul> <p>所得税分については、給与所得者の場合、2024年6月以降の給与・賞与の源泉徴収税額から順次差し引く<strong>月次減税事務</strong>が先行して行われてきました。そして、6月以降に控除しきれなかった残額の精算や、年間を通じた減税額の最終確定は、<strong>年末調整での年調減税事務</strong>で行います。</p>

<h3>年調減税事務で注意すべきポイント</h3> <p>年末調整での定額減税の精算にあたっては、次の点に注意が必要です。</p> <ul> <li><strong>年末時点の扶養状況で再計算する</strong>……月次減税は6月時点の情報を基に行いますが、年の途中で扶養親族が増減した場合、最終的な減税額は年末調整で確定させます。</li> <li><strong>所得制限の確認</strong>……定額減税には、本人の合計所得金額(年間の所得水準)による適用の制限が設けられています。高所得の従業員については、対象となるかどうかを確認する必要があります。</li> <li><strong>源泉徴収票への記載</strong>……年末調整で精算した定額減税の額は、所定の方法で源泉徴収票に記載する必要があります。記載方法は国税庁が公表する様式・記載要領に従ってください。</li> <li><strong>控除しきれない場合の取扱い</strong>……年末調整や確定申告でも減税しきれない分については、別途、給付(調整給付)の枠組みで対応される設計となっています。給付は税の手続きとは別であるため、混同しないよう留意します。</li> </ul> <p>定額減税は2024年分に特有の制度であり、対象者の判定・所得制限の基準額・源泉徴収票への記載方法など細部が複雑です。<strong>具体的な所得制限の基準額、控除対象の範囲、源泉徴収票の記載要領などの詳細は、国税庁が公表する「定額減税」関連の特設ページ・パンフレット・タックスアンサー等の公式情報を必ずご確認ください。</strong>判断に迷うケースは、税理士に確認のうえ処理することをおすすめします。</p>

<h2>年末調整の対象者|「誰を年末調整するか」を整理する</h2> <p>年末調整は、原則として、<strong>会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人</strong>のうち、年末まで在籍している従業員が対象です。中途入社・中途退職など、ケースによって扱いが分かれるため、対象者の判定は丁寧に行います。</p>

<h3>年末調整の対象になる人</h3> <ul> <li>1年を通じて勤務している従業員(扶養控除等申告書を提出している人)</li> <li>年の中途で就職し、年末まで勤務している従業員</li> <li>所定の事由により年の中途で退職した一定の人(年末調整の対象となる退職者は限定されています)</li> </ul>

<h3>年末調整の対象にならない人</h3> <ul> <li><strong>給与の年間収入金額が2,000万円を超える人</strong>……年末調整の対象外となり、本人が確定申告を行います。</li> <li>扶養控除等申告書を提出していない人(乙欄適用者など)</li> <li>2か所以上から給与を受けており、他の支払者に申告書を提出している人</li> <li>災害減免法により所得税・復興特別所得税の源泉徴収の猶予や還付を受けた人 など</li> </ul> <p>対象外となる人は、原則としてご自身での確定申告が必要です。確定申告の全体像については<a href="https://metaworksgroup.jp/topics/tax-return-season-2024">確定申告シーズンの解説記事</a>もご参照ください。なお、対象者の細かな判定区分は<strong>国税庁の年末調整に関する公式情報(年末調整のしかた等)</strong>で最新の取扱いをご確認ください。</p>

<h2>必要な書類と回収スケジュール</h2> <p>年末調整は短期間に多くの書類を回収・確認する事務です。配布と回収のスケジュールを早めに設計しておくと、年末の業務集中を避けられます。</p>

<h3>従業員から回収する主な申告書</h3> <table> <thead> <tr><th>申告書</th><th>主な内容</th></tr> </thead> <tbody> <tr><td>給与所得者の扶養控除等(異動)申告書</td><td>扶養親族・配偶者・障害者などの情報。年末調整の前提となる基本の申告書。</td></tr> <tr><td>給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書</td><td>本人の合計所得の見積り、配偶者(特別)控除、所得金額調整控除の判定。</td></tr> <tr><td>給与所得者の保険料控除申告書</td><td>生命保険料・地震保険料・社会保険料(本人払い分)・小規模企業共済等掛金の控除。</td></tr> <tr><td>住宅借入金等特別控除申告書(該当者)</td><td>住宅ローン控除の適用2年目以降の従業員が提出。</td></tr> </tbody> </table> <p>あわせて、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、社会保険料(国民年金保険料など)の控除証明書、住宅ローンの年末残高証明書など、<strong>各種控除を裏付ける添付書類</strong>の回収が必要です。証明書類は再発行に時間がかかるものもあるため、早めの案内が肝心です。</p>

<h3>標準的な回収スケジュール</h3> <ol> <li><strong>11月上旬</strong>……各種申告書を従業員へ配布。控除証明書の準備(紛失時の再発行依頼を含む)を早めに案内します。</li> <li><strong>11月下旬</strong>……申告書と添付書類を回収。記載漏れ・押印漏れ・証明書の添付漏れをこの段階でチェックします。</li> <li><strong>12月</strong>……回収した情報をもとに年税額を計算し、定額減税(年調減税)を精算。年内最後の給与で過不足を還付・徴収します。</li> <li><strong>翌年1月</strong>……源泉徴収票を本人へ交付し、源泉徴収票・給与支払報告書を税務署・市区町村へ提出。法定調書合計表も期限内に提出します。</li> </ol> <p>提出期限は法令で定められています。<strong>源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書合計表などの具体的な提出期限は、国税庁および各市区町村の公式情報で最新の期日をご確認ください。</strong>年末調整の前提となる申告書類の準備は、決算・年明けの確定申告期と業務が重なります。年内のスケジュールは<a href="https://metaworksgroup.jp/topics/year-end-closing-2024">年末スケジュールのご案内</a>もご参照ください。</p>

<h2>電子化のすすめ|年末調整のペーパーレス化</h2> <p>紙の申告書を配布・回収し、添付書類を1枚ずつ確認する従来の方式は、回収漏れ・記載ミス・計算負荷の温床になりがちです。近年は<strong>年末調整の電子化</strong>が進み、従業員はスマートフォンやPCから申告書を入力し、会社側は計算・源泉徴収票作成までを一気通貫で処理できるようになっています。</p> <ul> <li><strong>収集の効率化</strong>……従業員はオンライン上の質問に答える形で申告でき、記載漏れや計算誤りを入力段階で防げます。</li> <li><strong>控除証明書の電子データ活用</strong>……保険会社等が発行する控除証明書の電子データを取り込めるケースがあり、転記の手間と誤りを削減できます。</li> <li><strong>計算・帳票作成の自動化</strong>……年税額の計算、定額減税の精算、源泉徴収票の作成までをシステム上で完結できます。</li> </ul> <p>メタワークス会計事務所では、<a href="https://metaworksgroup.jp/">マネーフォワード クラウド</a>を活用した給与・年末調整業務の電子化をご支援しています。クラウド給与を利用すれば、申告書の収集から計算、源泉徴収票の作成までをペーパーレスで行え、業務負荷を大幅に軽減できます。クラウド会計・給与の導入全般については<a href="https://metaworksgroup.jp/topics/cloud-accounting-intro">クラウド会計の導入解説</a>もご覧ください。</p>

<h2>よくある質問(FAQ)</h2> <h3>Q1. 月次減税で定額減税が引ききれなかった場合、どうなりますか?</h3> <p>2024年6月以降の給与・賞与で控除しきれなかった定額減税の残額は、<strong>年末調整(年調減税事務)で精算</strong>します。年末調整でも控除しきれない分については、税の手続きとは別の枠組みである調整給付で対応される設計です。所得制限の基準や精算の細部は国税庁の公式情報を確認のうえ処理してください。</p>

<h3>Q2. 年収が2,000万円を超える従業員も年末調整しますか?</h3> <p>いいえ。給与の年間収入金額が2,000万円を超える人は<strong>年末調整の対象外</strong>となり、本人が確定申告を行う必要があります。会社は通常どおり源泉徴収を行い、源泉徴収票を交付しますが、年末調整による精算は行いません。</p>

<h3>Q3. 控除証明書の回収が間に合わない従業員がいる場合はどうすればよいですか?</h3> <p>証明書の添付がないと該当する控除を年末調整に反映できません。回収が間に合わない場合、その控除を反映せずに年末調整を行い、従業員が後日<strong>確定申告で控除を受ける</strong>方法があります。再発行には時間がかかるため、11月上旬の案内段階で「紛失時はすぐ再発行依頼を」と周知しておくのが実務上のコツです。</p>

<h2>まとめ/ご相談</h2> <p>2024年分の年末調整は、(1) 源泉徴収の精算という基本に加え、(2) 定額減税(所得税3万円・住民税1万円)の年調減税事務が加わる点、(3) 対象者を扶養控除等申告書の提出と年収2,000万円基準で正しく判定する点、(4) 11月配布・11月末回収・12月精算・翌年1月提出というスケジュール管理、(5) 電子化による負荷軽減——が押さえどころです。定額減税は2024年特有の制度で細部が複雑なため、所得制限の基準額や源泉徴収票の記載方法など、判断に迷う数値・取扱いは必ず国税庁の公式情報か税理士でご確認ください。</p> <p>メタワークス会計事務所では、マネーフォワード クラウドを活用した年末調整の電子化支援から、定額減税の精算、源泉徴収票・法定調書の作成、給与計算と税務顧問までを一気通貫でご支援しています。年末調整の準備でお困りの方は、繁忙期前のお早めのタイミングで<a href="https://metaworksgroup.jp/">メタワークス会計事務所</a>へご相談ください。関連するテーマは<a href="https://metaworksgroup.jp/topics/">コラム一覧</a>でも随時発信しています。本記事は公認会計士・税理士 <a href="https://invaders.co.jp/members/hoshino-ushio.html">星野宇潮</a>の監修のもと作成しています。</p>

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